カーボンナノチューブ、長さ3倍に、強度や熱伝導性向上、東大が作成

2007/ 02/ 05日経産業新聞p.11 408字

 東京大学の丸山茂夫教授は、従来の約三倍の長さのカーボンナノチューブ(筒状炭素分子)を作成した。長さを伸ばしたカーボンナノチューブを使えば、樹脂などと混合した複合材料の機械的強度や熱伝導性、電気伝導性などを向上できるという。  作成したカーボンナノチューブは単層で、直径二ナノ(ナノは十億分の一)メートル。長さは約三十マイクロ(マイクロは百万分の一)メートル。従来の単層カーボンナノチューブの長さは十マイクロメートル程度だった。  作り方は、厚さ〇・五ミリメートルの石英の基板の上にコバルトとモリブデンの触媒を載せて反応装置に入れる。基板をセ氏八百度に加熱し、百分の一気圧の希薄な状態にしてアルコールを流し込むと、触媒を基点にカーボンナノチューブが成長する。  従来は反応装置内部の圧力の制御が正確でなかったため、長いカーボンナノチューブを作れなかったという。今回、圧力を精密に制御して安定して長さを伸ばせるようになった。