東大、FEDの画質安定――単層ナノチューブ、向きそろえて合成
2003/05/19 日経産業新聞 P.7 371字


 東京大学と科学技術振興事業団の研究グループは、単層カーボンナノチューブ(筒状炭素分子)の向きを一定方向にそろえて合成する技術を開発した。ナノチューブは薄型表示装置の「電界放出型ディスプレー(FED)」の部品材料として期待され、向きがそろうとFED画面の画質が安定するという。
 今回の研究は東大の丸山茂夫助教授と同事業団の研究も受け持つ大久保達也助教授らの成果。
 直径約六ナノ(ナノは十億分の一)メートルの穴が無数にあるメゾポーラスシリカという無機材料の膜を、シリコン基板に付けて合成する。ナノチューブの原料に金属触媒を作用させると、無機材料の穴からナノチューブが出てくるように並び立ち、その向きを制御できた。
 単層ナノチューブは低電圧で明るいFEDが実現できるとして応用研究が進んでいる。従来はナノチューブの向きがばらばらで使いにくかった。