単層カーボンナノチューブ、三井物産が効率製造技術。
2003/02/26 日経産業新聞 P.10 366字


 三井物産は二十五日、代表的なナノテク素材であるカーボンナノチューブ(筒状炭素分子)の単層タイプ=写真=を効率よく製造できる手法を開発したと発表した。四月以降にサンプル出荷を始める。
 一〇〇%出資子会社でナノカーボン材料の研究開発をするCNRI(東京・中央)が、東京大学の丸山茂夫助教授と共同で開発した。化学的気相成長法(CVD)を応用、触媒が入った炉の中に原料を入れて作る。
 従来はアセチレンなど炭素と水素だけからなる原料を使うのが一般的。新手法は酸素も含むアルコールの蒸気を入れる。触媒微粒子も工夫、すすなどができにくい。
 単層タイプは米カーボン・ナノテクノロジーズ・インク(CNI)などが一グラム四万―五万円で販売中。炭素電極間で放電して作る手法や高圧の一酸化炭素を使う手法もあるが、CVDは常圧で作れるので量産に向くという。