高品質のナノチューブ、三井物産が受託製造、来月から。
2003/10/09 日経産業新聞 P.7 425字


 三井物産は、ガラス基板を高品質のカーボンナノチューブ(筒状炭素分子)で均一に覆う技術を開発、十一月から研究用に受託製造販売を開始する。ガラス基板上に作製した物性を測定しやすい試料の提供で応用分野の開拓を促す。
 販売するのは石英ガラス基板上に作ったナノチューブなどで有償。三井物産のナノテク子会社CNRIが東京大学の丸山茂夫助教授と共同で、ガラスや金属などの基板上に高品質の単層カーボンナノチューブを作る技術を開発した。アルコールを原料にナノチューブを作る独自技術で、ガラスなどの基板を傷めずに高品質のナノチューブを合成できる。
 透明なガラスの上に合成すると、効率よく発電する太陽電池や高感度光センサー、超高速通信用の光スイッチなどの開発に必要な光特性などがそのまま調べられる。従来は金属触媒など不純物を多く含む粉末状の試料の入手しかできなかった。独自に分離・精製技術を持つ企業や大学の研究者でないとナノチューブの物性研究を実施するのが難しい状況だ。