東大、光ファイバーの先端に単層CNTを生成
2003.08.28 日刊工業新聞 4頁 (全457字)


東京大学の丸山茂夫助教授、山下真司助教授らは27日、光ファイバーの先端に高純度な単層カーボンナノチューブ(CNT)を直接、生成することに成功したと発表した。アルコールを用いた触媒化学気相成長(CVD)法を使うもので、芝生のように均質に生成できるのが特徴。単層CNTは強い光を透過させ、弱い光を吸収する「可飽和吸収特性」が注目されており、この特性を生かして光の通り具合を任意に制御したさまざまな光素子をつくれる可能性がある。

この技術ではまず、金属イオンを含んだエタノール溶液にシリコンや石英の基板を浸した後、引きあげて乾かす。これにより基板表面に直径1・5ナノメートルの金属微粒子(コバルト・モリブデン合金)が付着する。この基板にアルコール触媒CVD法で単層CNTを生成させる。

この技術で直径125マイクロメートルの光ファイバー先端の断面に直径1・5ナノメートル程度の単層CNTを生成した。厚さは100―200ナノメートル程度と考えられ「ナノチューブの束が何層にもうねっているような状態」(丸山助教授)だとしている。

日刊工業新聞社