CNRI−東大、単層CNTの新製法を開発、高品質・低コスト実現
2003.02.27 化学工業日報 11頁 (全485字)


 三井物産のナノテク研究開発会社であるカーボン・ナノテク・リサーチ・インスティチュート(CNRI)は、東京大学大学院工学系研究科の丸山茂夫助教授と共同で高品質な単層カーボンナノチューブ(CNT)の開発に成功した。アルコールを原料とする触媒CVD法のACCVD法によって生成するもので、非晶質カーボンや欠陥がほとんどない単層CNTを低コストで得ることができる。両社は電子デバイスなどへの適用を目指しサンプル製造を開始する。
 単層CNTは従来、アーク放電法、CVD法の一種のHiPco法などで製造されているが、スケールアップが困難だったり欠陥が多かった。また触媒CVD法についても、従来のアセチレンを用いると多層化したりする問題があった。
 丸山助教授はアルコールを原料とすることで高品質化を実現。これはアルコール分子に含まれる酸素原子が反応中に欠陥を抑制すると考えられており、選択的に単層CNTを製造できる。
 反応は八百度C以下の温度で大気圧また減圧下で簡単な設備で行えるため、トンオーダーへの規模拡大が容易としている。両社では一グラム当たり二千円以下の製造コストを目指す。
化学工業日報社